第21回【保険業界と人工知能(AI)について】

近年人工知能(AI)の業務実用化が話題になっていますが保険分野においてもAIの導入が検討・実施されております。今回はその現状とAIが持つ可能性について紹介いたします。

1.保険業界における人工知能(AI)の導入

保険業界でAIをいち早く導入されたのは、コールセンター業務でした。

2015年頃からIBMが開発した「ワトソン」を導入しました。導入当初はオペレーターが聞き取った内容を「ワトソン」が解析する事からスタートし、その後「ワトソン」が音声分析を行う段階に移行、「ワトソン」が聞き取った内容を瞬時に画面に文字表示する事で通話記録作成の効率化が図れました。また、お客様からの過去の質問・要望を分析・学習し、オペレーターの配置やHP上のQ&Aページの並べ替えを行う仕組みを導入し、お問い合わせ件数削減に「ワトソン」は貢献しました。

この成功を皮切りに、保険業界では様々な業務にAIが導入され、お客様へのサービス向上や業務効率化が図られていきました。

2.その他の導入事例

・富士火災(現AIG)
2017年1月に保険金支払い査定にAIを導入、医師の診断書などから査定にあたって必要な傷病名や手術名、入院期間等を自動で読取る処理を行っており、正確な支払保険金の査定に効果が期待されています。

・三井住友海上
2017年3月より高性能360度カメラで募集人の販売手法や接客時のお客様の表情を記録しAIで分析を行うシステムを試験的に導入しました。分析結果を基に成約パターンを見える化し、共有化することで販売力向上を図っています。また打合せ時の話を分析し、募集人が説明責任の確実な履行を果たしているかの判断も行っています

・かんぽ生命
2017年3月から保険金支払い査定にAIを導入、1年半かけて約500万件の支払い事例を学習させ、顧客の情報を入力すれば90%の精度で最適な回答を出せるようにしました。ベテラン社員でなければ判断が難しいと言われる症例の査定に対しても対応可能と言われています。

・損保ジャパン日本興亜
2017年7月より自動車保険証券・車検証読取りアプリ『カシャらく見積り』を提供し、
タブレットで撮った自動車保険証券と車検証の内容をAIが読み取り、読み取った内容を保険料<計算システムへ転送し見積りから契約手続きまでをシームレスに行うことが可能です。

3.今後の可能性

保険会社によって導入の内容は異なりますが、保険分野でもAIの導入は進んでいます。
多種多様な商品・事例が存在する保険分野ですがデータ蓄積はすでに始まっており、近い将来にはお客様の情報をAIに登録すれば最適な保険をAIが検討できるようになり、提案内容の質の向上が期待されます。
ただ、精度が高いとしてもそれはデータの蓄積によるものであり、臨機応変な対応についてはまだ人間に頼る部分もあるとの意見もあり、AIが出した結論を鵜呑みにするのではなく、判断材料の一つとして考えるというのが保険会社としての考えのようです。