海上保険 事例紹介 – 食品

汗、発熱損害(Sweat & Heating:S & H)

汗濡れは船倉やコンテナ内の水蒸気が外気温等の変化によって船倉やコンテナ内の天井や隔壁に凝結し、貨物に接触することによって生じる損害です。また、発熱損害は、汗濡れ等によりバクテリアの繁殖環境が整い繁殖に伴って発熱したり、粘度の高い燃料油が加熱されることによって燃料タンクの熱が船倉内の貨物に伝わって発生します。
対象貨物・・・穀物、飼料等の一定程度の水分を含むもの etc.

1.事故事例

コンテナの欠陥により、外気温の影響を受けてコンテナ内の貨物に汗濡れ(結果としてカビ)が生じた

<コンテナの穴あき>コンテナの穴あき
<牧草の汗濡れ/カビ>牧草の汗濡れ/カビ

2.海上保険での対応

  • ①汗濡れの発生原因が免責事由に該当しない場合においては、ICC(A)条件で担保されます。
  • ②ICC(B) /(C) 条件ではS & H特約の付帯が必要です。

3.補足

ICC(A)条件でS & H特約を付帯していない場合、汗濡れの発生原因に偶然性・外来性があるか、免責事由に該当していないかが大きなポイントになります。コーヒー豆や落花生等、性質上水分を多く含む貨物に関しては、ICC(A)条件に別途S & H特約を付帯しておいたほうが望ましいです。

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汚染損害(Contamination)

外来の異物の混入による損害です。
対象貨物・・・化学品、食品 etc.

1.事故事例

船倉内のクリーニングが不十分で前荷が残留しており、バルクケミカルが汚染してしまった。

<汚染>汚染
<汚染>汚染

2.海上保険での対応

  • ①事故の発生原因が海上輸送中である場合に限り、ICC(A)条件にて担保可能です。
  • ②ICC(B) /(C) 条件では担保されない危険であるため、Contamination特約の付帯が必要です。

3.求償の注意点

  • ・損害の発生場所(保険期間内に異物が混入したのか)が大きなポイントになります。
  • ・保険期間開始前の時点ではクリーン(良品)だったことを示す証明書(第三者機関発行)が必要となります。
  • ・異物の混入によって、貨物自体が損害を被っているかどうかが問われます。

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漏損(Leakage)

化学品やお酒などは液体専用のタンクコンテナで運ばれることもありますが、ドラム缶やフレキシタンクというバックに詰められてドライコンテナに搭載され輸送される場合もあります。この時、液体を詰めた容器が破損し内容物がこぼれてしまうことを漏損と言います。
該当貨物・・・化学品、食品、etc.

1.事故事例

コンテナ内で液体を入れたバックが破れ中身が漏れ出てしまった。漏損

2.海上保険での対応

  • ①ICC(A)条件で担保される危険であり、お支払いの対象となります。
  • ②ICC(B) /(C) 条件では担保されない危険であるため、Leakage特約の付帯により担保可能です。

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虫食い、ねずみ食い担保(Rats & Vermin)

食品や穀物等を輸送する際、何らかの理由によりコンテナ内に虫やねずみが侵入し貨物を食べるなどの場合があります。

1.事故事例

  • ①輸入した食品に虫が発生しており、損害防止の目的で虫と貨物の選別処理等を行った。
  • ②輸入した商品を確認したところ、ネズミにかじられた跡があった。

2.海上保険での対応

  • ①事故の発生原因が海上輸送中である場合に限りICC(A)条件にて担保可能です。
  • ②ICC(B) /(C) 条件では担保されない危険であるため、特約の付帯により担保可能です。

3.補足

  • ・虫やネズミは生き物のため、輸送開始前から貨物内に侵入しているケースも存在します。海上保険は貨物の輸送中に偶然・外来的な事由により損害が発生する必要がありますので、輸送開始前から貨物内に虫やねずみがいた場合は、保険求償の対象とすることはできません。そのため、当該損害が発生した場合は虫・ねずみが海上輸送中に発生した事を証明する必要が有ります。
  • ・一般的には、第三者検査機関により輸送開始前に虫・ねずみが発生していないことの確認等が行われています。

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破袋(Bag Torn)

輸送中に貨物に衝撃が加わり、貨物が破袋を起こすことがあります。

1.事故事例

輸送中や荷役中の激しい衝撃によりBAGが破袋、
中身の商品が流出した。
破袋

2.海上保険での対応

  • ①事故の発生原因が海上輸送中である場合に限りICC(A)条件にて担保可能です。
  • ②ICC(B) /(C) 条件では担保されない危険であるため、特約の付帯により担保可能です。

3.補足

  • ・保険会社に対しDevanning Reportや入庫報告書で破袋の状況を証明する必要があります。最終倉庫内で保管後、出荷時に破袋が発見され、破袋が海上輸送中か最終倉庫保管中に起きたのか判断ができないケースにおいては、保険請求が難しい場合があります。
  • ・破損の補修で納入が可能な場合は、補修費用と流出分の損失のみ保険対象となります。

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解凍損害(Thaw damage)

冷凍・冷蔵貨物を輸送中に貨物が何らかの理由により解凍が発生した結果生じた損失のことを言います。

1.事故事例

冷凍されたエビを冷凍コンテナで輸送。デバンニング時にコンテナ内の霜やカートンの状況を確認したところ解凍損害が確認された。

2.海上保険での対応

ICC(A)に対しWarranty for Refrigerated Cargoが付帯されます。※低温の温度管理が必要な貨物は、上記Warrantyを付帯しないと保険求償が出来ないケースがあります。

3.補足

  • ・Warranty for Refrigerated CargoはICC(A)で冷凍貨物を引き受ける為の前提条件が記載された特約です。
  • ・Warranty for Refrigerated Cargoには、稀に「冷却停止期間が24時間以上」と確認された場合のみ保険対応するといった約款が存在しています。
  • ・船積前の出荷時~出荷港間でコンテナの冷却ミスが原因であることが多く、そのケースでは保険の対象外となることもあります。
  • ・本来一定の低温の管理が必要な貨物をドライコンテナで輸送し、その結果解凍損害が発生した場合は、保険の対象外となります。

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Moisture Warranty

水分を多く含む貨物は汗濡れ(Sweat & Heat)損害が発生する可能性が高いため、保険会社として一定以下の水分値のみを保険対象とするワランティーです。主にバルク貨物で規定されています。
主な対象貨物・・・小麦、トウモロコシ、大豆粕、大豆等の穀物類

補足

海上保険の引受にあたっては対象貨物の状態が一定の規格の範囲内である事を引受の基準とする事が有り、その際には、Moisture Warrantyのような証明書の提出が求められます。

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